この星では夥しい数の自動車が走行している。
当然、自動車同士が衝突したり、自動車が建物に突っ込んだり、人が自動車に轢かれる事故が頻繁に起きる。
人が一生のうちに一度も交通事故に遭わない可能性は35.8%だそうだ。
自分も軽微な事故を起こしたことはある。
ただ、深刻なケガをした人はこれまでの人生で遭った人でも数人であり、亡くなった人はいない。
後遺症事故、死亡事故に遭う確率は一生を通しても、おそらくそんなに高くないのだろう。
とはいえ、運が悪いと後遺障害が残ることもある。
そういう場合、当然損害賠償というものがあるが、右手を失った人と右足を失った人のどちらが高い賠償金を受け取るべきかという問題が発生する。
これは後遺障害等級というものを認定して、等級をもとに賠償額を計算することで解決しているそうだ。
思えばすごいシステムだ。
目が見えなくなる、手がなくなる、足が麻痺する・・・といった傷害はそれぞれ質的に違い、深刻度の順に並べろと言われてもなかなか難しい気がする。
配達人なら足がなくなれば仕事を失うが、画家にとっては失明は足が不自由になることよりつらいだろう。
そういう問題を乗り越えて、障害の種類に序列をつけた表が長年かけて完成されているのである。
精巧な機械を作り上げる技術もすごいが、こうした社会システムを作り上げるところも、人間はすごいなと思う。